環境心理行動学と省エネルギー

 5日には,建築空間における感覚・知覚心理シンポジウム「省エネルギー人間学のすすめ 環境心理はエコ社会に貢献できるか」(大阪 大阪市立大学文化交流センター)(主催 日本建築学会 感覚・知覚心理小委員会)に参加してきました。教員と院生4名です。最近は,学会のシンポジウムもネーミングに工夫をこらすのです。
 今回は,講演者の方だけでなく,感覚・知覚心理小委員会の委員全員が意見を原稿として提出しました。僕は,このテーマは,意外と古くて,有効温度ETで有名なHoughten先生が,1940年の論文ですでに色彩の温熱効果についての論文を発表していること(結果は否定的だったのですが)などを紹介して,歴史的に振り返る必要があることを述べました。もちろん,僕たちの研究室では,長年色彩や環境音,温熱環境などの複合環境評価の研究を行っていますので,そのことも紹介しておきました。
 社会的要請があって,研究が発展することも事実ですが,研究テーマの歴史的な流れを追うことは,非常に優先度の高い課題だと思います。僕が院生の頃は,インターネットでの検索などありませんでしたから,いろいろな学部の図書館を回って,関連しそうな雑誌の目次を何年分かづつまとめて見ていたものです。今よりも遙かに手間のかかる作業ですが,当初目的としていたテーマとは異なる面白そうな論文を見つけて,興奮したものです。こういう楽しさを味わうことも,贅沢な時間かもしれませんよ。