現代の打ち水

 松原です。
 打ち水を研究の対象と考えたのは,1990年度の卒業研究の時が初めてです。当時,卒論生だった澤島君,永谷さんの「京都における夏の住居環境調節に関する研究<打ち水、すだれ、夕涼み、建具敷物の取替とクーラー>」という卒論の中で,打ち水を実施している実態をアンケート調査しました。この時点では,すたれゆく生活文化としての打ち水という意識がありました。
 一方,「打ち水大作戦2003  大江戸打ち水大作戦」と称して,ヒートアイランド対策としての打ち水の見直しが始まり,各地で打ち水大作戦なる運動が広がりつつあります。
 我々の研究室では,その後,2001年,2007年にほぼ同一の地域(西陣,北白川,洛西NT)で定点観測をしましたが,打ち水の実施率は,およそ70%,65%,55%と漸減傾向にあります。省庁や自治体ががんばっても,減少傾向にあるようです。
 京都では,京都学生祭典実行委員会が,KYO-SENSEプロジェクトと称して,打ち水と風呂敷を拡げる活動をしています。昨年,我が研究室に,温熱的な効果の測定依頼があり,三条通りの打ち水において協力をしました(8月1日,2日)。ただ,残念なことに2日間とも,あまり天候がよくなく,2日目は途中から大雨に降られずぶ濡れになりました。「みやびじょん」(京都のケーブルテレビ局)のインタビューにもコメントしましたが,ずぶ濡れで打ち水の効果のコメントをするのは,やや喜劇的でしたね。
 今年度も,協力依頼がありましたので,あらたな気持ちで協力したいと思っています。

 京都市も,打ち水には積極的で,昨年度は8月14日に市役所前広場で大々的なイベントとして行っています。こちらも,当研究室で温熱環境の測定を行いました(盆休みなので,人手不足でしたけど)。この日は晴天だったので,雨男を返上したつもりです。京都市役所前広場での打ち水についても,協力依頼を受けましたので,こちらも,地域貢献として,積極的に協力する予定です。こちらは,8月2日の予定です。