ブータン大使の言葉

松原です。
 いつの間にか,アクセス数が2000を越えました。カウンターを設置した12/2から約80日でした。相変わらず,僕自身のアクセスがもっとも多いだろうと思いますが,ログを見ると,時々続けて10〜20のページを見ている方があります。僕が,誰を想定して書いているか,というと,基本は研究室メンバ−,本学の学部生および受験生です。教員がどんなことを考えているのか,どんな研究室なのか,を発信することが主目的です。それ以外の人にとっては,情報価値が乏しいかも知れませんが。
 さて,先日の京都環境文化フォーラムで,追加で紹介しておきたい言葉があります。ブータンの日本大使が,こんな主旨の発言をされました。およそ以下の段落のような主旨です。
 GNH(幸福度指数)は基本的にバランスが重要である。日本はすばらしい経済発展を遂げたが,さらにバランスをとってほしい。1位であることにこだわらないことが重要である。卓越することは素晴らしいことだが,2位でも3位でも卓越できる。1位であることにこだわりすぎると社会を破壊する。能力は個人によって異なるので,1位であることを強いて若者にプレッシャーをかけてはいけない,と。
 僕も,各自がその能力と条件に応じて,頑張って勉強をする,研究をするという姿勢は重要だと思いますし,院生・学生のみなさんにかなりプレッシャーをかけてきた方です。しかし,相対的評価というものは,常に上と下を生みます。そのことが,社会全体としては活力を低下させると感じています。フォーラムの1日目のセッションで,佐野先生は,格差の大きい社会では貧しい人だけでなく,お金持ちの幸福度も高くない,という研究結果があると紹介しておられました。「世界に一つだけの花」(SMAP)の中に「ナンバーワンではなくオンリーワン」という主旨の歌詞がありますが,僕たちの研究でよく使う「評価尺度」という観点からは,一人一人が多様な評価尺度のそれぞれでのナンバーワンと言うこともできるかも知れません。この世に存在する人間の数だけ評価尺度を作成すれば,みながナンバーワンであるという意味にもとれます。しかるに,「1位になれ!,勝ち組になれ!」とプレッシャーをかけることは,往々にして差別的な発想につながることが多いと思います。評価尺度の多様性ということを考慮するべきではないでしょうか?

 13日午前の環境の殿堂表彰式で,高岡亜衣氏の書道パフォーマンスで書き上げられた作品です。残念ながら,作品の仕上がるところは見ていませんでした。

http://takaoka-ai.com/gallery1.html