大震災

松原です。
 昨日,岩垣君から震災の情報を聞いたときには,これほどの大被害をもたらすものだと思いませんでしたが,未曾有の被害とはこのことでしょう。大自然の前に,人類の力がいかに小さいか,を思い知らされました。被害に遭われた皆様に,心からお見舞い申し上げます。
 合わせて,原子力発電について,も考えさせられます。本日の朝日新聞は早速,地震国日本と原発について,根本的な議論が必要だ,という主旨の論説委員の記事を掲載していました。単なる主義・主張の問題として,賛成・反対を議論するのではなく,現実的な選択として,迫ってくる気がします。福島原発から数km程度に居住しておられる方々は,生死に関わる問題に直面しておられるわけです。我々は,常に想定外のことが起こりうる,と考えて,意志決定を行う必要があるのだと思います。科学が進んで,以前より,はるかに高い技術と精度のよい予測に基づいて意志決定をすることができるようになっていますが,意志決定とは,科学的に「決まる」ものではなく,議論をしたりして合意をして「決める」ことだと思います。仮に,今回のような災害が起こる確率が200年に1回だと予測できたとしても,その数字を大きいとみるか,小さいとみるか,はやはり人間の主観なのだと思います。人間集団が相談して,この数字は大きいからやめよう,と決定するか,小さいからやろう,と決定するか,は合意形成の問題なのです。さらには,想定外の事態が起こることを前提にして,意志決定することが必要なのだと思います。「決まる」のではなく「決める」のだ,という言葉は,院生時代に考えついたもので,当時は友人との議論でよく使ったのですが,数十年ぶりに思い出しました。20代後半の頃の方が,今よりもはるかに鋭く冴えていたなあ,と思いますが,歳をとるのは仕方ないですね。
 温暖化防止と原発は,いろいろなところで,関連づけられることが多いのですが,それぞれ冷静に考えるべきことなのだと思います。本日の1枚は,京都でCOP3が開催された記念のモニュメントです(右のリングのような形)。府大と植物園の近く,賀茂川沿いにあります。