みどりのカーテンの誤解

松原です。
 子供の日も夕暮れになりました。明日は学習ゼミで出勤ですし,そろそろ,9日からの日程が頭の中にちらついてきました。連休中に済ませておくべき公私の課題を終えるには,まだまだ努力を要します。
 さて,本日の新聞に「都内,夏の電力不足心配? 「緑のカーテン」に注目 被災地仮設住宅でも計画」(京都新聞地域総合版 2011/05/05)という記事が載っています。京都府温暖化防止活動推進センターのみなさんと協力して,長岡京市の小学校などで,緑のカーテンの普及や環境教育に関わっている者として,その効果を正確に知っておいてもらう必要があると感じています。みどりのカーテンは,窓から入ってくる日射のエネルギーを遮り,また蒸散による気化熱の分だけ冷却効果があることは重要ですし,単なる日よけとは異なって,みどりの心理的効果も期待できます。ただ,室内に入ってくるエネルギーは屋根や壁からの割合もかなり大きいので,そのことを忘れないでほしいということです。特に仮設住宅にも言及されているますが,屋根の断熱性能が低いと,かなり暑くなります(阪神淡路大震災仮設住宅で測定させていただいたこともあります)。「植物で日よけをする」効果が,窓の部分だけで十分であると誤解してはいけません。「緑のカーテン」を有効に活用するには,屋根も壁も含めて,極力日影になるように設置して下さい。日よけとしての,すだれやよしずも忘れないでほしいです。植物ではなくとも,日よけがないよりはある方がはるかにましです。園芸に関心のある方々を中心にして,みどりのカーテンが,広がっていることはよいことだと思いますが,省エネルギー的に涼しく快適にすごすためには,他にもいろいろな方法がありますので,その事実も広める必要があると感じています。僕もいくつかの学会で,提言等に関わっていますので,できるだけ早くまとまった情報発信をしたいと思っています。研究室のみなさんには,建築環境工学の教科書を見て,季節別方位別の日射受熱量のグラフをおさらいしておいてほしいです。
 2日の環境共生教育演習Iの講義は,6号館ホール1でした。西側の窓外の写真ですが,樹木によって日影になっていて,場所にもよりますが,日よけとしては効果的です。