感覚・知覚心理と地下空間

松原です。
 土曜日には,建築学会の感覚・知覚心理小委員会に出席しました。大阪です。現在は西名先生(広島大学)が2期目の主査を務めておられますが,その前は,山中先生(大阪大学),その前が僕でした。建築学会の環境心理生理運営委員会の傘下には,環境心理小委員会,ヒューマナイジング小委員会の合計3つがあるのですが,感覚・知覚心理小委員会が設置されるまでは,この分野では,感覚・知覚心理あるいは精神物理学的な研究は,あまり明確な位置づけがされていなかった,というか,やや軽んじられていたと思います。運営委員会主査が讃井先生(関東学院大学)に代わられた時に,体制が変わりました。僕自身は,近年は「認知」の重要性と面白さに関心が向いていますが,研究分野全体としては,精神物理学から環境生理学や社会心理学などを包含するような研究分野なのだと思います。
 さて,この間,ずっと大阪駅前ビルの会場(大阪市立大学文化交流センター,キャンパスポート大阪)が多かったので,梅田の西方面は久しぶりです。写真の空間は,このあたりを知っている人には特に何ということもないのですが,植物や水を使うことで,地下空間を快適化しようとしているわけです。ランドスケープ分野や環境心理生理分野の知見が生かされた設計でもあります。同時に,都市空間のあり方として,地下空間を人間の空間として積極的に活用せざるを得ない,という負の側面もあるのではないでしょうか? と,常に少し異なった見方,考え方をする習慣を持つのが,僕の研究室の方針だと思っています。どちらかが絶対的に正しいわけではないのだけど,物事は,いろいろな見方ができる,ということを忘れない,ということです。