グライダーと飛行機

松原です。
 最近の学生は,あまり本を読まないので,講義では毎時間書籍の回覧をしています,と偉そうに言っていましたが,うちの研究室のメンバーの中には,よく読んでいる人もいます。先日,吉岡さんと渡邊さんに「思考の整理学」(外山滋比古)を紹介してもらい,やっと読み始めたところです。まだ37ページくらいですが,日本の学校では,優秀なグライダーを作っているが,自分で飛べる飛行機はできない,というようなことが書いてあります。『今の学校は,教える側が積極的でありすぎる。....また,知識を与えるのに有能であればあるほど,学習者を受け身にする。本当の教育には失敗するという皮肉なことになる。』という部分を読んで,『知識を与えるのにそれほど有能でない』僕は,やや救われたような気がしました。先日の養老先生の「学ぶ態度」と,ほぼ同じ主旨だと思いますし,日頃,僕が学生の気質について論じていることとも共通性があります。と言うよりも,1983年に出版された本に,言い尽くされているのかも知れませんね。これまで,大学教員のFD活動の一環だなどと,自分の頭で考えて理論化(?)しつつあると思っていたことは,この本ではすでに語り尽くされていた,と言うことなのかも知れません。だとすれば,これまでのエフォートを放棄して,その時間を,具体的な行動に使えばよいということになります。ただ,教育者としてどう振る舞えばよいのか,は,やはり模索ですが。よい知恵があれば教えて下さい。


 さて,本日の1枚は某鉄道の階段の広告です。景観政策が売りの自治体なのに,と少し悲しい気がしました。