次世代型の技術者

松原です。
 京都新聞5月5日付けの「天眼」に,佐和隆光先生の「次世代型の技術者教育」という記事があります。日本経済を支えるのは製造業しかない,その製造業はかつては欧米に追いつき追い越せと発展してきたが,近年は韓国・台湾・中国に追いつき追い越されつつある,その原因は高校で文系科目を十分に勉強せず,文学,哲学,芸術に触れることが少ないからではないか,これからは,専門のテクノロジーを学ぶのに先だってリベラルアーツとヒューマニティの知見を広めるべきだ,というような主旨です。故スティーブ・ジョブズの言葉を引用しておられ,なかなか説得力のある文章です。
 たしかに専門のテクノロジーを学ぶためには相当な労力が必要なので,どうしても数学・理科の勉強時間の確保を優先しがちなのですが,画期的な新製品を生み出すアイデアには,リベラルアーツとヒューマニティが必要なのでしょう。僕たちの学科は,いわゆるメーカーよりも,住宅・建築に関わる仕事が中心ですが,学ぶ姿勢によっては,画期的な新製品を生み出すアイデアを創造して,技術者に伝達する役割を果たせるのではないか,と思います。有能な技術者は少なくないですが,「画期的アイデア」を生み出せる人はそれほど多くはありません。優秀な技術者とコミュニケーションできる能力をもった,アイデアマン(ウーマン)も重要です。カリキュラムの特徴を生かして,自分という人材を磨いて欲しいものです。