巽和夫先生追悼の集い

松原です。
 本日表記の会がありました。僕は学生時代に,建築計画学の授業を教わったのです。巽先生は生涯現役,を貫かれた先生だったとのことで,83歳で逝去される直前まで,精力的に活躍をされていました。2つのシンポジウムが企画され,オーガナイザーとして非常に多くの仕事をされたこと,西山卯三先生の仕事との比較もお聞きしました。僕の収穫は,「都市住宅学 81号」の抜粋にある座談会での井上国土交通省住宅局長の発言の中で紹介された巽先生のお言葉です。姉歯事件を受けて「例えば構造の先生方は...最先端のことしか見ていない。要するに,構造計算書偽装事件を起こした建築士は特別だと,....。だけど,実際に構造計算を支えているのは,...一流の大学の先生....じゃなくて,本当の実務家で,こうした方々の能力には格差があるんだと。こうした底支えしている実務家達を元気にさせて質をあげなきゃ本当の質なんか上がらないんじゃないかと」。僕の周辺では,断熱性能や気密性能など建築の物理特性の問題とそっくりな状況です。物理学的にあるべき状態がこうである,ということと,現実世界の技術者の知識,使用可能な予算等の制約の中である現状が起こっている,そのことをどう見るのか,とということです。建築物理学の結論と,社会的視点での現実的な提案とは一致しません。自分の研究課題の立ち位置をより明確にできたという意味で,価値のある一日でした。 
 遅れている仕事は急がないと行けませんが。
 
 

 「写真の解説」
 巽先生の会は,京大百周年時計台記念館で開催されました。