別の視点

松原です。
 今年,ある事情で,他大学でも「建築環境工学」の授業を担当しています。中間テストで,「受講してなにを学んだか」を書いてもらったところ,本学の学生とは異なるものが見られました。ほとんどが,これまで考えたことのないことを考えることになった,というものなのですが,以下のようなものもありました。「設計では,自分のアピールしたいコンセプトを最大限に表現することが最も大切な姿勢だと考えている。...自分は建築の規則にしばられることなく最大限にコンセプトをアピールすることが重要な役目である。その際に失った快適な建築環境をどこまで理解できるか,また,その快適な環境をどこまでなら失ってもよいか知ることを目的に,この授業に取り組みたいと思っている。なので,...この授業ではこの建築環境がすべては守らなくても良いのだ,と考えて取り組んで来た。」というものです。全体を通して,やや古典的な「デザイン思想」のようですが,重要なことは,「快適さ」と「建築家としての評価(コンセプトの明快さのみが評価されるという前提)」を比較しようとしている考え方です。価値付けとしては賛同しかねますが,そういう比較を行うことに考えが至ったことは,教育の効果だと思うのです(ほんのわずかな,前進ですが)。今後,さらにどのように学んでくれるか,楽しみです。教員としては「建築家としての評価」の対象自体が変化するところをめざしているのですが,それが伝わるかな?
 

 本日,家政学会関西支部役員会が奈良女子大学で開催されました。重要文化財の旧本館・守衛室です。