環境心理行動学(15−4)

松原です。
 この新学期は,なかなかあわただしく更新が鈍っています。20日の日本建築学会近畿支部の「建築・エンジニアリングデザイン」のシンポジウムは,残念ながら参加できませんでした。25日はバイオクリマ研究会の理事会があり,東京に出張しました。
 さて,今年も講義は前期が多めです。「建築環境工学I」「環境心理行動学」「人間環境工学」「建築環境学特論」などです。
毎回のコミュニケーションシートの活用はほぼ例年並みですが,教員の熱意は彼らの記述内容にも少し反映するようで,頑張れば頑張っただけの甲斐はあるようです。僕は個別に回答を書くよりも,みなの前でコメントする方がよいとずっと思っているのですが,人数が多くなると時間もとりますので,回答できずじまいのものもあります。そこで,ブログも活用しようと思い至りました。本日の環境心理行動学では,感覚・知覚を中心に講義をし「デザインする対象は物理的なものだが,人間がどのように感じるか,知覚するかをデザインすることが重要」ということを強調しました。さっそく「"人間がどのように知覚するかをデザインする"というのは,吹き抜けで開放感を感じたり,白っぽい色の壁や天井で明るく広い空間だと感じることも含まれますか。この文を最後に聞いたらそういう気もするのですが,授業内容を振り返ってみると,また違うような気がします」と書いてくれた人がいます。基本的にこの問いかけに対しては,「含まれます」という回答になると思います。授業の中では,錯視や図地反転などについてもたくさんお話をしたので,それほど単純ではないことに気がついてくれたということです。極端に言えば,先の質問のような例以外にも錯視・錯覚を利用したトリックアート的な空間デザインもあるのだということです。倫理的問題,安全面の問題等を考慮した上で,これらは十分に「あり」のデザインでしょう。別の感想では,「環境デザインのための科学は,単に物理環境のデザインだけではなく,そこに住む人,利用者の認知を考慮してデザインするのが大切だということが印象強く,人間感覚にまで配慮した設計が僕の目指す1つの設計のあり方だと考えます。今後も様々な事例を見て学び,豊かな感性を持って建築に携わっていきたい。」という崇高な目標を書いてくれた人もいます。うれしいですね。

「写真の解説」
 新橋駅前の蒸気機関車です。東京の人にとっては,当たり前の光景ですが,僕自身は,あまり見た覚えがないのです。最近は品川ー新宿,品川ー田町あたりがほとんどですので。