GWのキャンパス

松原です。
 結局,憲法記念日から子供の日まで3日間とも出勤をしてしまいました。図書やPCの環境を考えると研究室に来る方が仕事はしやすいということです。キャンパスも5日になると,さすがに閑散としています。先週まで,日々の課題に追われていたのですが,1週間分講義がなくて,バージョンアップの準備に当てる時間がとれると少し貯金ができたような気になります。少なくとも,来週の講義は余裕がもてるので8月半ばまでの道のりを乗り切る気持ちが異なります。毎年のことと言っても,教育以外の仕事量にはばらつきがありますので,今年は今年です。
 さて,先週の建築環境工学Iは,環境工学分野の歴史と19世紀半ば以後の設備技術の発展と建築デザインの変化のさわりを講義したのですが,医師・医学者達が換気に配慮した建築設計を行っていたという事実には,かなり衝撃を受けるようで,感想も多いのです。『エジソンの電灯照明が普及する前は,ろうそく,ランプ,ガス灯など燃焼にともなう光を照明として利用していたので,必ずススがでて,不潔で不衛生だった。この問題の健康的側面については多くの医師が気づいており,照明の排気を考慮した住宅設計を行っていた医師もいた』というお話です。なにしろ換気扇もない時代に,暖かい空気が上に移動することだけを頼りに排気を考えるわけですから,たいへんなことです。感想の中には「私は,医療や福祉に建築から関わりたいと考えているので,古くから医療と建築の関係が深いのだと知れてうれしいです。」「環境工学の論文が医学からも出ていると知って,人間の生活に深く関わる分野なんだと改めて感じた。」「医学者が建築から人の健康を配慮して本まで出していたということに驚いた。デザインが重視されることが多くなった現代で人の健康を考えることは重要だと思った。」等々。しばらく,このあたりの内容は講義をしていなかったのですが,そもそもの背景を説明せずに,換気のこと,熱伝導のこと,採光のこと... を話しても「歴史的にこういう段階に来ているから,自分たちがこのような学び方をするのだ」ということは理解できないだろうと思います。知識・計算方法などとの時間のバランスの取り方なのですが,学生の反応を見る限りは,こちらの時間を増やして「改善」したと感じています。


 GW中の京都タワー前は,観光客で賑わっています。夕刻になるとこんな具合です。