意義の次に技術?

松原です。
 昨日は,久しぶりに休みをとって,本日18日と明日19日は研究室で仕事をすることにしました。社会人院生は,大学にこられる日時が限定されるので,教員もそれなりの覚悟で取り組まなければなりません。しかし,その苦労は,教育・研究指導の成果として,少し時間遅れを伴って報われます。その時間遅れにはかなりの幅がありますが。自分の時間をどう確保して,さらに知的に高まるか,も同時に考えなければなりません。
 この間,研究をするにあたっての思想・哲学・目標を重視しているという主旨を繰り返し述べてきましたが,その理由は就職して社会で活躍するための知識・技術を身につけることの意義を知るための前提だと思うからです(これは,あくまでも教員の特徴を知ってもらうためです。一般的には,環境・設備系の研究室では,技術的な勉強を先行させる方が圧倒的に多いので)。意義がわかると,難しいこと,たいへんなこともやる元気が出てくる,と思うからです。ただし,何かを身につけて道具として使いこなすことは,それほど容易ではありません。一般論として,わが環境デザイン学科に限らず,住居系の学科,建築系の学科,いずれも,食物,機械,情報,化学,被服等等の学科と比較すると,卒業研究に必要な技術を学部の授業にすべて盛り込むことは困難なのです。その理由は,非常に幅が広いので,4回生に配属されてから,初めて学ぶことが少なくないと言えます。伝熱学は機械工学から,流体力学は理学部から,人間の心身の反応は医学や心理学から,意匠論は哲学から,マンション経営は経済学から...と幅広い他分野から理論や技術,手法を「輸入」して,研究している分野だからです。こんなことを知って「では,自分はこんなところを勉強してみよう」と意欲がわいてくるとよいですね。いずれにしても,研究室の人は,環境工学や設備学についての基本と発展的な内容を深めておくことは,専門性を主張する上では意義があります。少なくとも,大学の専門は一級建築士受験資格が得られる課程でした,という事実は重要です。もちろん,その上で,どの程度のユニークな能力を持っているか,が決定的なのですが。

 以前に,北大路橋から撮影した大文字を聖護院通りから撮ってみました。