原稿の準備

松原です。
 原稿の締切が迫ってきましたが,原稿は遅々として進んでいません。物事を考えるには,知識をインプットしてじっくりと考えて,それからアウトプットをしなければならないのですが,かなり前から,あまりインプットをする余裕がなくなり,知識の入出力のバランスからすると,出力超過の状態が続いていました。というわけで,今回,わずかではありますが新たに文献を集めたり,読み直して思考するという作業を進めています。たとえば,古いのですが1930年代の文献(Bedford's Basic Principles of Ventilation and Heating)をあらためて読むと,なかなか良いことが書いてあります。確かに,今日では陳腐化してしまっている部分もありますが,当時の状況の中で,これだけの内容が書かれていたことに敬服します。原稿の取り立て役のH先生には申し訳ないのですが,もうしばらく,文献を読み込んでから,インプットとアウトプットのバランスのとれた原稿を仕上げたいと思っています(願望にとどまるかも,ですが)。小規模の研究室でも,一人一人が特色のあるよい研究をすることこそが,僕たちの役割だと思っていますので。
 ところで,4/27に紹介したゼネコンで活躍しているIさんからコメントが届きました。ちゃんと読んでいてくれたのですね。返信は,もう少し待ってもらおうと思います。
 

「写真の解説」
 以前に自分の書いた論文別刷りを探していたら,1984年に書いた建築学会東海支部の論文の原稿(下記URL)そのものが出てきました。こんなものを捨てずに持っているので,僕の部屋が片付かないのですが,A3ノビサイズに手書きで書いていた時代です。右の本は刷り上がりのサイズ(B5)です。現在はWordなどのソフトで作成したファイルを印刷するだけですが,当時は,手書きで文字を書き,図表のみ英文タイプライターで作成していました。紙が大きいので,今日よりも,たくさんの図表を入れ込んで,内容の密度は濃かった印象がありますが,下書き・清書の労力はたいへんなものでした。現在では,内容が多少薄くても,見栄えはそこそこのものができてしまうわけです。前年の1983年は,僕が助手として就職した年で,この頃パソコンNEC PC-9801シリーズが発売されて,実用にたえるワープロソフト「松」が登場しました(640KBのフロッピーディスク1枚に辞書も入っていて定価12万円でした。予備のディスクもないので,つぶれたらそれまで,という時代です)。この翌年くらいからは,ワープロソフトを使用して論文を作成しましたが,文字の大きさは,固定あるいは倍角(横長の文字)くらいしか使用できませんでした。今日のようなアウトラインフォントが使用できるようになったのは,90年以後にMacintoshに乗り換えてからです。

複数の環境要因の組みあわせの影響に関連する文献調査について,日本建築学会東海支部研究報告集,22号,pp.161-164,1984. 
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007567534