大野隆造先生(東工大)最終講義

松原です。
 本日,東京工業大学すずかけ台キャンパスにて,表記の最終講義「私の学び・教え・研究の軌跡」がありました。建築計画・意匠系の先生ではありますが,建築学環境工学委員会環境心理生理運営委員会でも長年お世話になっていますので,馳せ参じました。大野先生が神戸大学にお勤めの時代に,東京の委員会の帰路に,新幹線でビールを飲みながらご一緒していた時期がもっとも頻繁にお話をしていたと思います。日頃の学会講演などと異なるのは「最終講義の場だから言おう」とか「ずっと黙っていたけど,こんな本音があったのだよ」という興味深い発言があることです。例えば「違いのわかる男」としてインスタント・コーヒーのCMに出ておられた清家清先生が,実はコーヒーは飲まれなかった,というこぼれ話もありました(年配の人でないと面白さが理解できないでしょうが...)。「お金をもらって勉強してきた」と何度も言われましたが,勉強せざるをえない状況に追い込むことで学んだ,ということであって,決して要領がよかったと言う意味ではないと思います。また,HPにも書いておられるように「研究テーマは、原則として学生が自ら発想し、ゼミにおける相互の活発な議論を通して深め、各自の責任で研究を進めます」という方針ですので,Sommer 先生が来られていた時にも,「どうしてもっと絞って研究しないのだ」と言われた,とのことです。分野もテーマも僕とはかなり異なるのですが,そのあたりに,個人的には少しだけ共感してしまいました。学生から学ぶために,フラットな関係を作る,ということも興味深くお聞きしました。アイデアをもらってしまうのだ,とのことでしたが,良好な信頼関係にある限りは,悪いことではないのだろうと思います(微妙な部分もありますけど)。最後の「これからの環境行動研究」の「日本(アジア)発の環境行動研究のコンセプト」という部分で,"utsuroi"についての研究発表を紹介されましたが,これは,非常に示唆的でした。欧米発の分野をアジア流にアレンジすることでもあり,わざわざ横浜まで行ったかいがあったと思います。付け加えると,以前は東京への半日出張の時間などとれない,と思っていましたが,新幹線の車内が意外に落ち着いて仕事ができることに気づいて,最近はあまり気にしなくなりました。研究室にいなくても,できることはできる,と言うわけです。


「写真の解説」
 講義のあと,花束贈呈です。











 「写真の解説」
 懇親会も盛況でした。