建築環境工学I (15-2)

松原です。
 先日の環境心理行動学に続いて,15年度2回目の講義を振り返って,という少し遡っての話題です。4月22日には,建築環境工学が登場するまでの歴史的な背景を講義しました。以前には講義していたのですが,近年は省略していたのです。内容のベースは関根孝先生の「建築環境設備学の歴史」ですが,「環境としての建築」などもちょくちょく参照します。森林太郎,ペッテンコーフェル,チャドウィック,藤井厚二といった名前は当然としても,ヒポクラテス,ヘイワード,エジソン,キャリアなど,いろいろな人名が登場します。なぜ,建築環境工学を学ぶか,という原点を考える,入学した初心を思い出す,と言う意味でも非常に有意義だったと思います。以下,コミュニケーションシートの内容です。
 「建築という分野は,様々な分野の知識,気づきが必要で,たいへんだなと思うようになったのですが,今回の授業でまたそのことを考えましたね。換気,暖房について考える元となったのが,軍医の方だったことには驚きです。やはり,そこに人が暮らす,集う,あるいは活動する,建物を考えるということは,今,人類が扱える知識をフル稼働して考える,どうすればよりよいものになるのかを考える,だからこそ,たくさんの分野の知識が絡んでくるのだな,と思った。ある意味,建築とは,総合的な知識が試される究極の学問なのかも知れない。」「環境学,設備学の歴史は,計画学の話と少し似ていた。造家学会,ルコルビジェの話も聞き覚えがあり,こういうことかと頭の中でつながった感じがした。....建築という枠を自分で限定せず,多角的に学ぶことが重要だと知った。自分の得意分野を生かせるというのが,他の専門的な学問よりも,建築で面白い点だと思った。」など,手応えのある1コマでした。

「写真の解説」
 道を歩いていて,ふと目にとまった光景です。きれいとは言えない側溝ですが,誰かが,石をならべて「庭造り」をしたようです。雨ですぐに流されるでしょうが,少しだけ楽しくなりますね。